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「ボランティア学習」の目的(福祉の理論)

1.「ボランティア学習」の目的は,何か?

 「人に役立つことをしたい」という自発的・自主的な態度を育て,それを実践・行
動する子どもを育てる。                           

2.「人に役立つことする」のに,どのような価値があるのか?

@ 自他共に尊重される生活が実現する → 「人に役立つ」行為をすることで  
                     そのような関わり方ができることで 
A 日々の生活に充足感が持てる    → 「人に役立っている」という認識を持
                    つことから             
B 人生に生きがいができる      → 「人に役立つ」行為をすること自体が
                    生きがいになっているということから 

  つまり,「人に役立つことすること」が,次のようなことを保障してくれるのである

 質の高い生活や人生                            

  言い換えれば,個人や社会に「クオリティ・オブ・ライフ」を保障してくれるのであ
 る。「クオリティ・オブ・ライフ」の保障は,やがて個人や社会の幸福感につながって
 いくのである。
3.人間はどんなときに「人に役立つことしたい」と思うのか?
  どんなときに「人に役立つこと」をするのか?
  概ね,次のように考える。

@ 相手のそのときの立場が「負の状態である」と認識したとき・理解できたとき 
 (例)困っているとき,苦しんでいるとき,大変な状況であるとき       
A 相手から恩恵を受けたとき(そのお返しをしたいと思ったとき)       
B どのような行為がその人の「役に立つのか」という知識を得たとき      
B 相手に「役立つことをする」だけの技能が身に付いたとき          
C その他                                 

  @〜Cはそれぞれ並列の関係にあるのではない。
  言うなれば,@とAは「人に役立つことしたい」と思うときの「状況」であり,Bと
 Cは「人に役立つことする」の可能にする「条件」ということができよう。
  人間は以上のようなときに「その人のために役立つことをしたい」と思うようになる
 だろう。
4.「人に役立つことをする」と,他人を思いやるやさしい心情がなぜ育つのか?
  「他人を思いやる」とは,どういうことをいうのだろう。
  思いつくまま書いてみよう。

@ 相手の立場が「負の状態」であるときに,それを「負の状態」であると認識でき
 ること                                  
A 「負の状態をなくす」あるいは「正の状態に持っていく」方向で,その人に働き
 かけること                                
B 相手に対して「正の状況」を提供する。また,「正の状況」になるように働きか
 けること                                 

  @〜Bのことをやったときに,「他人を思いやっている」ということができよう。


5.どのような対人関係にあるときに,「その人に役立つことをしたい」と思うのか?
  次の四つのときだろう。

@ 肉親・血縁の関係にあるとき                       
A 特定の集団で特定の関係にあるとき                    
B 恩恵を受けた相手のとき                         
C その他                                 




 @ 目的
 A 目的にどのような価値があるのか(なぜその目的は望ましいのか)
 A 「人に役立つことしたい」と思うとき
 B 「態度形成→実践・行動化→日常化」のために

            (行動を可能にする技術・技能 )                



知識
   
 → 
   

態度
   
 → 
   

行動
             
             
             
                                     
          
          
          
          
          
   
   
   
   
   
・行動しようとする気持ち          
・行動しようとする心の準備が出来上がった状態
・行動への安定した準備状態         



「態度形成」促す「動機づけ」
                     
                     
                     
 《本人の何に訴えるか》                         
  @ 快への接近   D 人間愛                    
  A 不快の回避   E 真善美の追求                 
  B 利への接近   F 向上心                    
  C 不利の回避   G 自己実現                   



 行動・実践を可能にする技能
                     
                     
                     
 @ 積極的                               
 A 適応的…環境・社会・家庭・学校・職場等に適応したよい人間関係,生活パ
       タ−ンを志向する                      
 B 有効な…有効な行動技術,合理性や技術的工夫             



 行動化へのステップ
                         
                         
                         
 @ モチベ−ション(知識→態度形成)                  
 A ライフスキル (技術・技能)                    
 B ライフスキル・プラクティス(技術・技能の練習→行動化)       

 C 指導内容と方法,ライフスキルとの関係




 「人に役立つことをしたい」という態度形成,行動化・実践化・日常化  


@ モチベ−ション(知識→態度形成)                   



 「人に役立つことをしたい」という態度形成を促す情報を与える。    


A ライフスキル (技術・技能)                     



 「人に役立つ」具体的な内容や方法・技術を知らせる。         


B ライフスキル・プラクティス(技術・技能の練習→行動化)        



 「人に役立つ」具体的な方法・技術を練習し,習得させる。       


C 行動化・実践化・日常化                        




 習得した「人に役立つ」具体的な方法・技術を日常生活や社会に働きかけ,
生かす場をつくる。                          



 D 単元計画

「態度形成」促す「動機づけ」

  《何に訴えるか》
   @ 快への接近   D 人間愛
   A 不快の回避   E 真善美の追求
   B 利への接近   F 向上心
   C 不利の回避   G 自己実現

  * モチベ−ションとして,上のどれに訴える授業を仕組むか。

 環境ボランティアの先駆者「向後元彦の話」〜マングロ−ブを守れ〜      
 1 砂漠の国の人…緑に飢えている。 ← 「負の状況」の認識(働きかけの動機



2 マングロ−ブの林をつくろう。(「自己実現」)
            
←「負の状況」をなくす・
 「正の状況」にする働き
                           かけ         
 3 砂漠の人々の暮らしをよくしよう(「人間愛」)←「正の状況」の想定   
   石油をもらっている恩返しをしよう←受けた恩恵のお返し(働きかけ動機) 
                                      
 4 マングロ−ブ                             
  @ よい漁場になる。        
  A 枝は,ラクダや山羊のえさになる。 
                
←働きかけができる根拠(知識) 
                
  B 枝は,燃料になる。       
                                      
 5 マングロ−ブの林をつくる技術←働きかけができる根拠(技能・知識)   
 
 
 
 
 
           
           
           


 ボランティア(人に役立つ)
 
 人に役立つ行為をした(ボランティアをした)人そのもの紹介      



《訴え方》
 1 人に役立つことをした人そのもの紹介(「自己実現」の仕方・「人類愛」への共感
) 2 ある人の「負の状況」を認識させる。(「人類愛」へ訴える)
  @ どのような認識のさせ方をすると,その人に働きかけようとするか(人類愛を持
   つのか)
  A
 3 「自己実現」「人類愛」を求めると得られる「利」「快」の内容を認識させる。

 障害のある人や高齢者の疑似体験をさせる。                 

 @ 日常おかれている立場や状況(負の状況)を予想させる。
 A 日常おかれている立場や状況(負の状況)を認識させる。(他者理解スキル)

他者理解スキル

   @ 他者を自分の立場に置き換えて考えることができ,その気持ち喜びや苦しみを
    共感することができる。
   A 他者を正しく認知し,他者を正当に評価,理解,尊重するスキル。
 B 日常おかれている立場や状況(負の状況)を認識させた結果,どのような認識を持